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高分子材料は、温度だけではなく水分の影響で物性が変化します。当分析センターでは、独自の水中ユニットを装備した熱機械分析装置(TMA)を用い、業界初となる「水中環境における膨張率の受託測定」を始めました。また、液体浸漬ユニットを取り付けた動的粘弾性測定装置(DMA)を用い、水中環境における動的粘弾性の測定も受託しています。このような液中物性の評価は、水の中や屋外で使用される製品の材料設計に活用していただいています。
ここでは、水中環境で、膨張率や弾性率が大きく変化した測定例をご紹介します。
フィルム試料をセットした後に試料を水に浸します。雰囲気の水を室温から90℃まで加熱したときの変位(水中環境)を測定しました。ナイロン66とPPの測定結果を図1に示します。比較として、大気中で90℃まで加熱したときの変位(ドライ環境)も図に記載しました。ドライ環境における変位について、ナイロン66とPPを比較すると、ナイロン66の方が膨張は少ない結果になりました。一方、水中環境では、ナイロン66の変位はドライ環境に比べて著しく大きくなり、PPよりも膨張した結果になりました。
PPに比べてナイロン66は吸水性が高いことから、ナイロン66ではポリマー間に水分子が侵入して、ポリマー間の水素結合を弱くしたと推定されます。
測定仕様
当分析センターの水中TMAの測定仕様を示します。水中環境で測定した後に、水を抜いてドライ環境に変えることにより、試料が乾燥するときの変化も測定できます。
| 項目 | 仕様 |
|---|---|
| 湿度範囲 | 20~90℃ |
| 昇温速度 | ≦1℃/min |
| 測定荷重 | 10g≦ |
| サンプル形状 | フィルム(サイズ例:L20mm×W4mm) |
| 測定雰囲気 | 水中(水中で測定した後、水を抜いてドライ環境に変えることも可能) |
以前の文献では、ポリマー試料を吸水処理した後に大気中で動的粘弾性を測定して、水の影響を調べている例があります。そこで、水の影響を調べるのに適切な条件を把握する目的で、図2のサンプル処理条件・測定雰囲気条件で動的粘弾性を測定し、測定結果を比較しました。条件①は、未処理サンプルを大気中で測定する「一般的な方法」です。条件②は、浸水処理したサンプルを大気中で測定する「文献の方法」です。条件③は、浸水処理したサンプルを水中で測定する「当分析センターの方法」です。
ナイロン66の結果を図3に示します。浸水処理/水中測定(③)の貯蔵弾性率は未処理/大気中測定(①)と比較して、20℃では1/3、40℃では1/2と大きく低下することがわかりました。これはポリマー中に拡散した水の可塑化効果によると考えられます。一方、浸水処理/大気中測定(②)の貯蔵弾性率は、77℃以上で①と同じレベルになりました。②の条件では、サンプルは測定中に乾燥してしまうためと考えられます。以上の結果から、水中における貯蔵弾性率を評価する条件として、水中環境で動的粘弾性を測定する条件③が適切と考えられます。
測定仕様
当分析センターの液浸DMAの測定仕様を示します。
| 項目 | 仕様 |
|---|---|
| 湿度範囲 | 20~100℃ |
| 昇温速度 | ≦1℃/min |
| モード | 引張り、曲げ |
| 周波数 | ≦10Hz |
| サンプルサイズ(注1) |
引張り:L20mm×W5mm×t0.1mm以下
曲げ:L20mm×W5mm×t1~2mm |
| 測定雰囲気 | 水中 |
(注1)厚みや硬さにより適正サイズが変わりますので、詳細はお問い合わせください。
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